本音の順番・沈黙の段階・「大丈夫」の意味でずれる場所
ずれは性格の欠点ではなく、相手の静けさをどう読んでしまうかで起きます。
本音を言う順番を譲り合う
INFJは会う前に「今日は疲れているだろうから、この話はやめておこう」と話題を引っ込めます。INFPは相手の一言に引っかかっても「今言うと困らせる」と胸にしまいます。
どちらも先に口を開かないので、不満は消えたのではなく、言葉になる前に二人が引いているだけです。
たとえば、デートの帰り道で二人とも「楽しかったね」と言い合いながら、それぞれ別の引っかかりを持ち帰っている。使える一言は、「答えは出てないから、今日は聞いてもらうだけでいい?」です。
沈黙の段階が逆になる
同じ「大丈夫」に見えても、INFJとINFPでは沈黙が出てくる順番が逆であることが多いです。
INFJは、不満をその場で口にするより、内側で何度も反芻します。「これは疲れているだけか」「この人とこの先どうなるか」を自分の中で確かめ、見立てがある程度固まってから外に出します。だから返信が短くなり、会っても「疲れてるだけ」としか言わなくなった段階では、内側の整理がすでに進んでいることがあります。
相手からすると、何の前触れもなく急に遠くなったように見えます。けれどINFJの側では、何週間も前から続いていた我慢の、いちばん最後の形が見えているだけです。まだ間に合うかどうかは、「会うことを拒んでいないか」「理由を話す余地を残しているか」で見分けます。詳しくはINFJのフェードアウトの記事で書いています。
INFPは順番が逆です。たとえば「そういうところ、ちょっと重いよね」と軽く言われた一言に傷つくと、その場では笑って流します。そして、あとから心の中で距離を取ります。この時点では、傷はまだ言葉になっていません。本人も「なぜこんなに引っかかっているのか」を説明できず、日記や好きな曲の中で気持ちを確かめている最中です。
相手からは「昨日まで温かかったのに急に冷めた」と見えますが、INFPの側では結論はまだ出ていません。ただし、言葉にならないまま流した傷が何度も積もると、「急に冷めたように見える」結論に至りやすいです。この流れはINFPのフェードアウトの記事で書いています。まだ間に合うかどうかは「自分の世界の共有」、好きな曲や作品の話がまだ届いているかで見分けます。
INFJの沈黙は結論の後に来て、INFPの沈黙は傷の前に来る。この順番の違いが、このペアのいちばん見えにくいすれ違いです。INFJの沈黙を「まだ考え中なのだろう」と待つと、結論が固まる時間を渡すことになります。INFPの沈黙を「もう冷めたのだろう」と読むと、まだ言葉になっていない傷を、そのまま放っておくことになります。相手の沈黙がどちらの段階かを見分けられるだけで、待つか、先に声をかけるかの選び方が逆になります。
「大丈夫」の意味が3通りある
「大丈夫」「疲れてるだけ」は、この二人の間でいちばんよく使われて、いちばん意味が分かれにくい言葉です。
同じ「大丈夫」でも、中身は少なくとも3通りあります。
一つ目は、本当に大丈夫な場合。仕事が立て込んでいて、恋愛に割く余力が一時的に減っているだけで、気持ち自体は変わっていません。
二つ目は、疲れているだけの場合。こちらは本人も自覚があって、休めば戻ります。
三つ目は、不満を飲み込んでいる場合。INFJなら「言ってもこの人を疲れさせるだけだ」と判断して黙ります。INFPなら「言葉にすると自分が傷ついたことを認めることになる」ので黙ります。言葉の響きだけでは、この3つを区別できないことが多いです。
見分けの目安は、言葉ではなくその後の行動にあります。会う予定を減らしていないか。次に会う話が自然に出るか。INFJの場合は、理由を話す余地を残しているかが目安になります。「いつか話すね」ではなく「今は無理だけど週末なら」と、話す場所を先に置いているかどうかです。INFPの場合は、自分の世界の共有が残っているかが目安になります。「この曲、聴いてみて」「この本の主人公が好き」といった話がまだ届いているかどうかです。これらが残っているうちは、三つ目の「飲み込んでいる」だとしても、扉はまだ閉じていないことが多いです。
ただし、これは断定の材料ではなく、あくまで目安です。本当に疲れているだけの人が、たまたま曲の話をしなかった週もあります。逆に、曲の話を続けながら不満を飲み込んでいる人もいます。だから目安で当たりをつけたら、もう一段だけ聞いてみてください。「大丈夫なのは分かった。疲れてるだけなのか、何か引っかかってることがあるのか、それだけ教えてほしい」。この一言は説明を求めているのではなく、「どちらでも受け取るつもりがある」と伝えています。
「大丈夫」を鵜呑みにするのでも、疑うのでもなく、種類を聞く。そう考えられるようになると、相手の短い返事は「壁」ではなく「まだ開いている入口の手前」に見えてきます。